歯科衛生士から、他職種や他の業界への転職を考えたことはありますか?
新卒から続けているから、他の仕事も経験してみたい・・・
歯科衛生士から転職する人は数多くいます。
他の仕事もしてみたい、もっと合う仕事を探したいと思うのはごく自然なことです。
実際に全国の歯科衛生士免許保持者のうち、約半数は歯科に就業していません。
(出典:令和2年度 衛生行政報告例)
筆者の私も、診療所で働いた経験はあるものの、現在は別の仕事に就いています。
この記事では、他の仕事も視野にいれたいと考えている方へ向けて歯科衛生士の経験を活かせる仕事をまとめました。
- 歯科衛生士を辞めたいと思っている
- クリニック以外で働いてみたい
- 資格・経験を活かせる仕事が知りたい
歯科衛生士は続けたいけど、今の職場を辞めるべきか悩んでいる方は、こちらの記事もおすすめです。
事務系の仕事に興味がある方には↓もおすすめです。
具体的に転職成功までに準備したことをお伝えしています。
経験を活かせる歯科関連の仕事5選
現場の衛生士業務は卒業したいけど、せっかくなら歯科で学んできた専門知識を活かして働きたい!
そんな人は、歯科関連の職場の中から仕事を探してみましょう。
例えば以下のような職場です。
- 歯科関連の一般企業
- 歯科医院の事務担当
- 介護福祉施設
- 保健所や保健センター
- 歯科衛生士学校
歯科に関わる職場だと、歯科衛生士としての経験を直接評価してもらいやすく採用に繋がりやすいメリットがあります。
歯科関連の一般企業
歯科関連の一般企業では、臨床現場のように患者さんの対応をするわけではありません。
お客様は歯科医院の先生や歯科衛生士などの、医療従事者になります。
医療現場で働く方々をサポートしたい人に向いています。
一般企業での主な仕事は次のようなものがあります。
営業 | ・歯科材料や医療機器の紹介、販売 ・商品の使用方法レクチャー |
---|---|
商品開発 | ・予防歯科関連グッズの企画、提案 |
歯科の経営サポート業 | ・ホームページ制作 ・歯科医療従事者の人材紹介 ・歯科向けメディアの制作 ・電子カルテの運営サポート |
↓は転職サイトに実際に公開のあった求人の一部です。
歯科関連メーカーの営業職や、電子カルテの使い方を教えるインストラクター職を見つけられました。
\歯科衛生士×営業職の求人例/\歯科衛生士×システムインストラクターの求人例/
引用元サイト:リクルートエージェント
歯科医院の総務事務担当
歯科衛生士の事務作業が多い『訪問歯科』では、事務専任スタッフを募集していることがあります。
その他にも、人事・総務などの『運営事務』担当として歯科衛生士を採用する医院もあります。
訪問歯科の事務
- レセプト入力
- 患者情報の管理
- 請求管理
- データ入力・集計
- 書類作成
- 在庫管理
歯科の運営事務
- スタッフマネジメント
- 勤怠管理等の労務業務
- 採用活動等の人事業務
- 広報活動
- 業者対応
資格が必須な業務内容ではないですが、現場を知っている歯科衛生士であることは強みになりました。
↓は実際に掲載のあった「訪問歯科の事務長候補」の求人の一部です。
引用元サイト:リクルートエージェント
歯科衛生士としての経験があれば、医院を活性化するスタッフさん目線のネジメントに活かせそうですよね。
歯科関連企業・歯科の総務の仕事の探し方
仕事探しで難しいのが、歯科関連の一般企業や、歯科の総務職・事務職は歯科衛生士専門の転職サイトには中々求人がないところです。
どうやって探せばいいか?ですが
結論、歯科衛生士専門よりも、一般の転職サイトに登録したほうがいいです。
「そんな求人があったら、教えてください!!」
とエージェントに伝えて、求人を探してもらうのが手っ取り早いです。
大手転職エージェントのリクルートエージェントあたりは求人数が豊富なので登録しておきましょう。
エージェントさんとの相性が心配なら、【転職エージェントナビ】(20代専門)で転職アドバイザーを通して探す方法もあります。
介護福祉施設
老人ホームや介護老人保健施設などの介護福祉施設でも歯科衛生士の活躍の場があります。
保健指導や予防処置などの歯科衛生士業務が中心なので、今までの経験をすぐに活かせるメリットがあります。
ただし、メインは口腔ケアや口腔リハビリになります。
積極的な治療はあまり行わないので、SRPなどの細かい技術に自信がない人もチャレンジ可能です。
主な仕事内容
- 口腔ケア
- 摂食嚥下訓練
- 食事の際の援助
- 利用者本人、ご家族、介護職員等への説明
他職種やご家族との関わりが多くなるため、説明が得意な方・コミュニケーションが好きな方に向いている仕事です。
介護福祉施設で働くのに役立つ資格を探す
介護系の資格保持者には、別途手当が貰える職場もあるようです。
介護の入門である『介護職員初任者研修』の勉強をしてみるのもいいですね。
介護福祉施設の歯科衛生士の求人を探す
介護福祉施設で働きたい場合は、歯科衛生士専門の転職サイトでも見つけることができます。
ジョブメドレーにも求人掲載がありました。
↓は実際の求人の一例です。(2024年8月現在)
引用:ジョブメドレー
口腔ケアやリハビリ中心の仕事希望なら、歯科診療所の訪問診療部まで条件を広げると求人の選択肢を増やせます。
訪問歯科の仕事については↓の記事で解説しています。
保健所・保健センター
公務員として保健所や保健センターで勤務する歯科衛生士もいます。
主な仕事内容
- 歯の健康や疾病予防に関する情報発信
- 成人への歯科予防相談
- 乳幼児への歯科検診、フッ素塗布
- 保育園や小学校での集団歯磨き指導
- 高齢者の口腔検査
ただし、公務員の求人募集は一般の求人サイトで見つけることはできません。
さらに公務員試験に合格する必要もあり、倍率も高いため狭き門です。
求人が出ることもレアですが、公務inというサイトで公務員試験情報(募集)をチェックできます。
歯科衛生士学校
歯科衛生士学校の教員は、歯科衛生士の免許さえあれば教員免許不要で就くことが可能です。
ただし、歯科衛生士としての経験が浅い場合は難しいかもしれません。
主な仕事内容
- クラス担任
- 教科、実習授業の講師
- カリキュラム作成
- 外部講師との連絡調整
- 保護者対応
私の出身校では、卒業生が先生になっているケースも多いようでした。
経験を活かせる歯科業界以外の仕事4選
歯科業界以外へ転職する場合は、資格自体は使えないと思ったほうがいいでしょう。
培ってきたコミュニケーション力や器用さを武器にして転職することを考えてみましょう。
例えば、次のような仕事なら経験を活かせます。
- 医療事務
- エステ、ネイルなど美容施術者
- 美容カウンセラー
- 保育士
医療事務
医療事務員は勤務先が病院やクリニックです。
歯科医院からの転職でも比較的ギャップが少なく、挑戦しやすい良さがあります。
レセプトなどの専門的な知識は勉強が必要になりますが、受付や患者様の介助で今までの経験を活かすことができます。
主な仕事内容
- レセプト
- 受付
- 電話対応
- 検査の予約管理
- 患者介助
- 医師のサポート
筆者は歯科衛生士→医療事務の経験者です。
同じ医療業界出身のため、採用までスムーズに進みました。
無資格でも仕事はできますが『レセプト』は現場で全てを習うのは難しかったです。
私は医療事務講座受講+本でも基礎を学ぶようにしていました。
↓この本はフルカラーでわかりやすかったです。
エステ、ネイル等美容施術者
ホワイトニングやデンタルマッサージを経験するうちに美容への関心が高まり、美容業界へ転職する歯科衛生士もいます。
業界は違いますが『人に施術する』ことに慣れているのは強みになります。
美容関連の仕事例
- カウンセリング
- ネイル施術
- マッサージ等美容施術
- メイク
とはいえ、何の知識もなく施術者になるのは不安かと思います。
- ネイル、メイク、まつエクに興味あり→PBアカデミー
- 就職サポート付きで学びたい→ヒューマンアカデミー通信講座『ネイル』
- マッサージ施術系に興味あり→リンパケアセラピスト資格を簡単に取得できる人気の通信講座【SARAスクール】
美容カウンセラー
美容は好きだけど施術には抵抗がある方、
人の悩みを聞いたり、説明が好きな方には美容カウンセラーという選択肢もあります。
特に歯科衛生士として自費治療のカウンセリング経験があれば、対応力を活かして働けます。
美容カウンセラーの仕事例
- カウンセリング
- 治療内容、料金説明
- スケジュール管理
- 医師への報告
- 資料作成
- カルテ管理
スキンケア知識や美容カウンセリング手法を学んでみたい方は
美容のプロを目指す!【スキンケアアドバイザー資格通信講座】
このような通信講座で学ぶ方法もあります。
保育士
歯科での幼児対応が得意、好きな方は保育士とのダブルライセンスを目指す手もあります。
保育士の資格は指定の養成所を卒業するかを、独学で学び試験に合格しても取得できます。
完全な独学は難易度が高いため、通信講座上手く利用するのもいいでしょう。
の講座だと、週2.5日2年の通学で国試免除で資格がとれます。
保育士の仕事例
- 子供達の健康チェック
- 身の回りのお世話
- 生活習慣指導
- 行事やイベント準備
- お便り作成、指導計画の作成等事務作業
- 保護者対応
保育士は人手不足のため、求人を見つけやすいのもメリットです。
異業種や他職種への転職を叶えるポイント
歯科衛生士から異業種や他職種へ転職するためには、以下の3つを押さえておくのがおすすめです。
- 転職理由を明確にする
- 必要な資格の取得や勉強
- 段階を踏んで転職する
転職理由を明確にする
歯科衛生士から転職する場合、必ず面接で聞かれることがあります。
今の職場を辞めて転職する理由です。
- 何を目指しての転職か?
- 今までの経験を希望職の何に活かせるか?
人に伝えられるように整理してみましょう!
必要な資格の取得や勉強
例えば保育士を目指したい場合などは、資格が必須になるため学習は欠かせません。
無資格可能な職種でも、未経験職種の場合は基礎知識は先に学んでおいたほうがよいでしょう。
Excelを使いこなす仕事の経験はないものの、一通り基礎は学習していたので何とかアピールできました。
何から勉強していいかわからない人は、専門講座の受講なら教材が揃っているので安心です。
MOSなどのPC系資格を取れば、もちろん履歴書にも書けて強みになります。
この機会に資料請求をしてじっくり選んで見てもいいですね。
最低限のPCスキル・ビジネスマナーを知っておこう
オフィスワークや事務系職希望の人は特に、基本的なビジネスマナー・PCスキルも求められます。
具体的な例を挙げてみます!
- 電話のマナー
- ビジネスメールのマナー(CCとBCCの違いなど)
- WEBミーティングのマナー(しゃべらない時はマイクOFF!など)
- 来客対応マナー(お茶出し・名刺交換など)
- 機密情報の漏洩防止の基礎知識(会社のPCに個人のスマホ接続NG!など)
- 基礎的なPCスキル(ExcelやWord)
以上のようなことは、実際に歯科衛生士から企業の事務職に転職してみて、常識レベルで求められると感じました。
段階を踏んで転職する
全く歯科衛生士と関連性のない職業に就きたいと考えているのであれば、段階を踏んで転職することも視野にいれましょう。
いきなり他業種かつ他職種への転職は、活かせる経験をアピールしにくいためハードルが高くなります。
例えば、食品関係の企業で事務職希望の場合
歯科衛生士→歯科関連企業の営業→食品メーカーの営業事務
↑のように歯科に関連のある仕事を挟んで転職したほうが経歴も自然で、経験も活かしながら働くことができます。
段階を踏んで転職するのが現実的で着実です。
異業種や他職種へ転職したい場合の注意点
歯科衛生士から、他の仕事へ転職したい場合の注意点はこちらです。
- 新たに学習コストがかかる
- 給与が下がる可能性がある
- 診療所の歯科衛生士と比較し職場を選びにくい
- 未経験での正社員は競争率も高い
新たに学習コストがかかる
新たな仕事を覚えるためには、ある程度時間やお金が必要になるでしょう。
挑戦する仕事によっては資格がいる場合もあります。
学習時間や教材費等がかかることも考慮しておきましょう。
給与が下がる可能性
歯科衛生士業務をしない場合は、基本的に資格手当は貰えないと思ったほうがいいでしょう。
特に未経験職種の初任給は、新卒並みの給与となる可能性が高いです。
職場が選びにくい(診療所の歯科衛生士と比べて)
診療所の歯科衛生士は職場自体が多いため、家の近くで働きたい等の細かい希望も叶いやすい良さがあります。
一方、その他の仕事は求人数も歯科衛生士と比べて多くはないため、条件通りの職場探しは難易度が上がります。
未経験での正社員は競争率が高い(オフィスワークや事務希望は特に)
未経験で正社員を目指したい場合、未経験可能や歓迎の求人に応募することになると思います。
オフィスワークや事務職に転職したい人は多く、競争率は高いのが現実です。
転職活動が長びく可能性も覚悟しておいたほうがいいでしょう。
歯科衛生士の経験を活かせる他職種、異業種 まとめ
ここまで、歯科衛生士の経験を活かせる他職種、異業種についてお伝えしました。
歯科衛生士からの転職は勇気がいりますし、希望職種によっては決して簡単ではありません。
でも、転職は経験も増えて世界は確実に広がります。
何より、失敗しても戻って来られるのが歯科衛生士の強みです。
チャレンジする価値はあると思います。
- 新たに学習コストがかかる
- 給与が下がる可能性がある
- 診療所の歯科衛生士と比較し職場を選びにくい
- 未経験での正社員は競争率も高い
- PCスキル、ビジネススキルが必須になる場合が多い