訪問歯科衛生士という職業は、患者さんの自宅や施設を訪れ、直接ケアを提供するという、非常に重要でやりがいのある仕事です。
その反面、歯科衛生士なら誰でも適しているわけではありません。
転職や就職を考えるのであれば、自分が訪問の歯科衛生士に適しているかを客観的に判断する必要があります。
この記事では、訪問歯科衛生士に必要なスキルや性格の特徴をまとめました。
自分自身で「向き・不向き」を評価するための方法もお伝えしていきます。
- 訪問歯科の大変なところ
- 働きやすいと言われる理由
- 失敗しない職場探しの方法
等が気になる方は↓記事もご参照ください
訪問歯科って何?簡単に
訪問歯科診療とは、歯科医師や歯科衛生士が患者さんの個人宅や施設を訪問し、歯科診療をおこなうサービスのことです。
訪問歯科の目的は、患者の口腔健康を維持し歯科疾患の予防や管理を行うことで、生活の質を向上させることです。
訪問歯科衛生士の仕事内容
訪問での歯科衛生士の仕事内容は主に次の4つです。
その他、書類作成や関係各所との連絡、車の運転も担当することもあります。
訪問歯科衛生士に必要なスキルと知識
訪問歯科での仕事は、一般的な歯科診療とは異なり患者さんの自宅や施設で行います。
なので、臨機応変な対応が求められます。
患者様とのコミュニケーション能力も重要です。
- コミュニケーション能力
- 臨機応変な対応力
- 歯科の基礎知識
- 診療時のポジショニング
- 摂食嚥下知識、リハビリ方法
- 口腔ケアの知識、スキル
- 全身疾患の知識
- 服薬知識
- 医療保険や介護保険の知識
- 運転免許(勤め先による)
- PCスキル(入力など)
その他、連携すべき医療・福祉関係者の職域理解も必要です。
一般歯科でしか働いたことがないと、意識して学ばないと「知らない」事も多いかもしれません。
【適正あり】訪問歯科衛生士に向いている人の特徴6つ
訪問歯科の歯科衛生士に向いている人の特徴6つを挙げてみます。
- 雑談ができて愛想が良い
- 説明が得意
- 聞き上手
- 柔軟性がある
- 共感力が高い
- 新しいことを学ぶ意欲がある
以下、詳しく解説していきます。
雑談ができて愛想が良い
患者さんや介助者であるご家族は、担当者が「良い人かどうか?」は気にされています。
当たり前ですが、患者さんやご家族は優しく・親切にされたいと思っています。
愛想がよく、雑談も出来るタイプの人は「良い人、親切、優しい」といった印象を与えやすいです。
逆に、無愛想で作業的に見えてしまうと、施術は完璧でもマイナス評価されてしまう可能性もあります。
良い人と思われると、心を開いてもらえる
↓
患者さん・ご家族も説明をよく聞いてくれる
↓
施術もしやすく、診療やケアプランが上手くいく
↓
患者さんの状況改善
↓
信頼関係
ということです。お互いハッピーですよね。
説明が得意
訪問歯科では説明を求められる場面が多々あります。
説明が必要な相手も、一般歯科より多いです。
- 患者さん
- ご家族、介助者
- 他の医療関係者
患者さんの中には、高齢であることや要介護であることからコミュニケーションが取りにくい方もいます。
また、ご家族や介助者にも患者さんへの施術内容・状態・注意事項やケア法など、様々な説明が必要です。
他の医療関係者との連携も重要なため、口腔ケアやリハビリの専門家としての説明を求められることもあります。
相手に合わせたわかりやすい説明が得意な人は、重宝されます。
聞き上手
聞き上手な人も訪問の歯科衛生士に向いています。
患者さんやご家族から症状や要望を上手く聞き出すことで、適切な診療プランが立てられます。
また、歯科衛生士は患者さんからの質問や不安に対して適切に答える役割も担っています。
聞き上手であれば、疑問や不安を的確に理解し、適切なアドバイスが行えます。
その他の職種への情報提供もしやすくなるので、チームとして良い医療が提供できます。
柔軟性がある
訪問歯科の歯科衛生士は、柔軟性がある人が向いています。
その理由はこちら。
訪問歯科では患者の自宅や施設での治療を行うため、環境的に一般のクリニックとは異なります。
このような状況でも、臨機応変に対応し柔軟なアプローチが求められます。
また、高齢者や障がい者のある患者さんに対して、個別のニーズに合わせた適切な対応も必要です。
想定外の出来事が起きた時に、歯科衛生士だけで一次対応をしなくてはならない場面があります。
難しいのは、似たようなトラブルでも相手の気持ちや状況によって最善策が異なるということです。
マニュアル通りのやり方では納得してもらえない可能性もあります。
状況ごとに合わせた柔軟な対応が出来る人が向いています。
共感力が高い
訪問歯科を利用される患者さんは、身体的な制限があることはもちろん、認知症やうつ病の患者さんも多いです。
緊張していたり、警戒している可能性もあります。
そのため、通常のクリニックに来る患者さんよりもストレスや不安を感じる可能性が高いです。
共感力を持って患者さんの状況を理解し、接することが求められます。
家庭の環境や施設のルールに配慮するためにも、共感力は必要です。
新しい事を学ぶ意欲がある
訪問歯科の歯科衛生士として働くには、専門知識を学ぶ必要があります。
専門的な事と言っても、特別難しいことはありません。
一度しっかり学べば難なく理解できると思います。
その後も担当する患者さんのニーズに合わせ、新しい事を学ぶ意欲がある人のほうが向いています。
訪問歯科衛生士に向いていない人の特徴5つ
特別向いていなくても、訪問歯科衛生の仕事は可能です。
ただ、以下のような5つの特徴がある人は訪問歯科の歯科衛生士になると後悔するかもしれません。
- 人と話すのが面倒、ストレス
- マニュアル通りに仕事していたい
- 自己成長意欲がない
- 潔癖症
- 環境で体調が左右されやすい
向き・不向きに関わらず訪問歯科を選択すべきではない場合もあります。
このような人は、一般歯科や興味のある分野に強い就職先を選択したほうが後悔しにくいでしょう。
人と話すのが面倒、ストレス
訪問歯科は患者さんだけでなく、ご家族や他の医療職とコミュニケーションを取る必要があります。
診療所での勤務より更に、様々な人と話す機会が増えます。
会話は正直億劫で、最低限にしたいと思っている人はストレスに感じる可能性が高いです。
マニュアル通りに仕事していたい
訪問歯科では、様々な状況や環境に適応する柔軟性が求められます。
決まった方法や手順でマニュアル通りに仕事をしたい人は、合わないと感じてしまうかもしれません。
自己成長意欲の低い人
訪問歯科で必要な、口腔ケア技術や全身疾患の知識、介護保険知識等は学校で詳しく学ばない分野です。
患者さんのニーズに合わせて自ら学び、成長する意欲がない人には難しいでしょう。
潔癖症
清潔感を意識することは大事ですが、潔癖すぎる人は向かないかもしれません。
高齢者や要介護状態の方の口腔内は、食物残渣や舌苔などが溜まっている可能性も高いです。
長い間ケアできず、放置されていることもあります。
環境で体調が左右されやすい
診療環境は患者さんの生活スペースによっては快適ではない可能性があります。
診療所ではいつも冷暖房完備の快適な空間で施術できますよね。
暑い・寒い等の施術に不利な環境でも、変わらず集中できる体力は必要です。
訪問歯科衛生士の向き不向き【適性自己診断のヒント】
ここでは、自分が訪問歯科の歯科衛生士に向いているか?
客観的に評価するための方法をお伝えしていきます。
度々お伝えしておりますが、訪問歯科の歯科衛生士に欠かせないのはコミュ力と対応力です。
なので、この2つを評価して適性を見極めるのがよいでしょう。
- コミュニケーション力が高い
- 対応力が高い
コミュ力を客観的にチェック
コミュニケーション力は、人との関わりや意思疎通を円滑に行う能力のことです。
おしゃべりで明るい人=コミュ力が高いわけではないので、注意しましょう。
具体的には
- 伝える力:相手に分かりやすく自分の言いたいことを伝える力
- 聴く力:相手の伝えたいことをしっかりと聴き理解する力
- 言葉以外で伝える力:目や表情、声のトーン、身振り手振りで伝える力
- 言葉以外を読み解く力:相手の感情や言葉の裏に隠された本心をくみ取る力
このような能力があると、コミュニケーション力が高いといえます。
自分で客観的に診断するのは難しいので、以下のような診断ツールを使うのがおすすめです。
対応力がある人ってどんな人?
対応力とは簡単に言うと「あらゆる事に対して柔軟に対応できる力」です。
問題解決力がある、イレギュラーに強いとも言います。
もう少し具体的に言うと、想定外の出来事やトラブルが起きても周囲の状況を把握しながら適切に判断・対処できる力のことです。
- 常に冷静沈着
- 必要なことを聞き出すのが上手い
- 情報を整理して考えられる
- 感情と事実をわけて考えられる
- トラブル、イレギュラーを想定できている
- 困難にぶつかっても乗り越えるメンタルの強さがある
このように書くと難しいイメージもありますが、生活や仕事の中で自然に鍛えられている場合もあります。
例えば「子育て経験」などがある方は、イレギュラー対応に慣れている人が多いように思います。
子育て=イレギュラー対応の連続とよく聞きます。
対応力の総合的な自己診断テストは見つけられませんでしたが、ヒントになる診断は以下のようなものがありました。
遠見書房:問題解決能力の自己診断
マイナビ学生の窓口:ストレス耐性診断
ダイコミュ簡易診断:パニックになりやすい診断 メンタル弱い診断
【適性は鍛えられる】訪問歯科衛生士の向き不向き まとめ
- 雑談ができて愛想が良い
- 説明が得意
- 聞き上手
- 柔軟性がある
- 共感力が高い
- 新しいことを学ぶ意欲がある
- 人と話すのが面倒、ストレス
- マニュアル通りに仕事していたい
- 自己成長意欲がない
- 潔癖症
- 環境で体調が左右されやすい
ここまで、訪問歯科衛生士の向き不向きや自己診断のヒントをお伝えしました。
転職、就職先選びの手がかりになると幸いです。
最後に、仕事を続ける上で向き不向き以上に重要なことがあります!
人と関わることや仕事内容自体が好きかどうかです。
訪問歯科衛生士に必要なコミュ力も対応力も、地道に努力できれば自然に身につき鍛えられます。
あとは自分に合った職場か?も重要です。
- 訪問歯科の大変なところ
- 働きやすいと言われる理由
- 失敗しない職場探しの方法
等が気になる方は↓記事もご参照ください