歯科助手は覚えることが多い仕事です。
資格がなくても仕事はできますが、専門性が高い仕事であることには間違いありません。
患者さんの口の中の水を専用器具で取るのにも、知識や技術が必要です。
何気なくやっているように見えて、一つ一つが考えて行動されています。
仕事を覚えるまでがとにかく大変!!
歯科助手を経験して来た人ならみんな思うことです。
歯科助手の仕事は『大変』だけど、慣れると面白さもあります。
- 歯科助手が覚えるべきことを知っておく
- 優先順位をつけて段階的に覚える
- 技術が必要なことは、まず注意点だけは覚える
私も未経験で歯科業界に飛び込み、歯科助手バイトからスタートしました
初めてだと、何を覚えたらいいのか、
『わからない』ことが『わからない』ですよね・・・
今回は、全く初めての方でもなるべくわかりやすいように、新人歯科助手さんが覚えることをまとめました。
映像で見てしまったほうがわかりやすいものは、動画も紹介してお伝えしますね。
- 新人歯科助手さん
- これから歯科助手を目指す方
- 久しぶりに歯科に復帰する方
- 歯科衛生士学校の学生さん
歯科助手が覚えることリスト
まずは、基本的な歯科助手の業務をざっくり知っておきましょう。
↓は一般的な歯科で歯科助手が行う基本的な仕事内容と覚えるべきことです。
歯科助手の仕事 | 覚えること |
---|---|
アシスタント | 歯式、専門用語、カルテの見方 器具、機材、薬剤の種類や名称 治療の術式 ライティング バキューム 器具の受け渡し セメント練和 印象材の練和 石膏つぎ レントゲンの準備 患者さんの誘導 |
準備や片付け | 清潔と不潔の区別 治療ごとの準備 器具の消毒滅菌、洗い物 朝の準備、帰りの締め作業 |
受付 | 受付、会計、予約 電話対応 |
患者さんの誘導や、朝・帰りの準備については歯科助手初日から教えてもらえたかもしれません。
まだ覚えられていない・・・という段階の方は、こちらの記事もご参照ください。
歯科で働く超常識!!早く覚えるべきこと5選
歯科で働くスタッフとしての超基本的なことを見ていきます。
歯科で既に働いている人にとっては『当たり前』になり過ぎていて
説明をすっ飛ばされる可能性すらあります。
歯科助手としてデビューしたなら、いち早く覚えましょう。
清潔と不潔
歯科をはじめ、医療現場では『清潔』と『不潔』を区別することが超重要視されます。
清潔・不潔と言っても日常生活での判断とは違います。
日常だとトイレの後手を洗わない→不潔!!
みたいな感じだと思います。
医療現場だと、少し考え方が違って
『院内での感染を防ぐためのルール』として区別が必要になります。
これは、その患者さんが病気を持っているかは関係ありません。文字通り『全ての患者さん』が該当します。
- 使用後の消毒、滅菌されていない器具機材は不潔として扱う
- 使用後のユニット(診療台)も消毒する前は不潔
- 使用済みグローブで、カルテや引き出しなどを触るのはNG
カルテの見方
カルテ=患者さんの治療内容を書きとめる記録用紙です。
診療報酬の請求にも使用します。
患者さんが来院して、診療を行う度に必ず記録をつけます。
- カルテ用紙の種類
- カルテに記載している内容
医療保険の基礎知識サイトでカルテ用紙の種類や使われている用語をチェックできます。
診療のアシスタントにつく前にカルテを見る癖をつけるのがおすすめです。
- 前回の治療内容
- して欲しくないことなど、注意点はないか?
『顔にタオルNG』など注意指示があるかも!
アポイント帳(予約表)の見方
アポイント帳は医院によって、形式は様々です。
データ上で管理する医院もあれば、用紙で管理するところもあります。
- 治療日時
- 患者名
- 治療内容
※担当医や、担当歯科衛生士ごとに記載される場合が多い
治療内容は、次項で説明する専門用語の略語で記載される事が多いです。
アポイント帳の内容が理解できると、準備がしやすくなります。
毎日チェックして見慣れるようにしましょう。
基本的な専門用語(ダウンロードできる用語リスト)
初めて歯科で働くとびっくりするのが、専門用語の多さかもしれません。
というか、なるべく早く覚えるようにしましょう。
専門用語を覚えることは、先生の指示・カルテの内容・アポ帳の内容などを理解するための第一歩だからです。
用語 | 読み | 意味 |
C処 | しーしょ | 虫歯治療 |
CR | しーあーる | コンポジットレジン修復 |
KP | けーぴー | 窩洞形成 虫歯除去後に詰め物が入りやすい形に整える |
PZ | ぴーぜっと | 支台歯形成 被せ物がつけやすい形に歯全体を削り、土台を成形 |
印象 (imp) |
いんしょう | 歯型をとる |
抜髄 麻抜 |
ばつずい まばつ |
歯の神経を除去する |
根治 (RCT) |
こんち (あーるしーてぃー) |
根幹治療 歯の根の中を清掃や消毒する |
根充 (RCF) |
こんじゅう (あーるしーえふ) |
根幹充填 歯の根の中に材料を詰める |
SET | せっと | 被せもの、詰め物を接着する |
咬調 | こうちょう | 咬合調整 咬み合わせの高さ調整 |
シェード | しぇーど | 色合い |
TF | てぃーえふ | 試適 |
BT | ばいと | 咬合採得 上下の噛み合わせの位置関係を調べる |
フルデンチャー (FD) |
ふるでんちゃー | 総入れ歯、義歯 |
パーシャルデンチャー (PD) |
ぱーしゃるでんちゃー | 部分入れ歯 |
エキスト (EXT) |
えきすと | 抜歯 |
抜糸 | ばついと (ばっし) |
縫合した糸を抜く |
TeC | てっく | 被せ物が出来るまでの間など、一時的に使う仮歯 |
SP | えすぴー | 消毒 |
オペ (OPE) |
おぺ | インプラントなどの手術 |
TBI | ていーびーあい | 歯磨き指導 |
SRP | えすあーるぴー | スケーリングルートプレーニング 歯周ポケット内の歯石除去 |
PMTC | ぴーえむてぃーしー | 機械的歯面清掃(クリーニング) |
P処 | ぴーしょ | 歯周病の処置 |
メンテ | めんて | メインテナンス(定期検査、歯石除去など) |
1M | いちえむ | 1ヶ月後の定期チェック(メインテナンス) 2M、3Mなどの間隔がある |
レジン | れじん | 歯科用プラスチック |
浸麻 | しんま | 浸潤麻酔 |
表麻 (OA) |
ひょうま | 表面麻酔 |
J | じー | ポピドンヨード |
◆詰め物・被せもの | ||
ア充 | あじゅう | アマルガム充填 |
インレー (In) |
いんれー | 歯の詰め物 |
HJK | えいちじぇーけー | 硬質レジンジャケット冠 前歯に使用するレジン性の白い被せ物 |
FMC/ FCK |
えふえむしー/ えふしーけー |
銀歯 金属の被せ物 |
CAD・CAM | きゃどかむ | セラミックとレジンを混ぜて作る白い被せ物 |
クラウン (Cr/CK) |
くらうん | 歯の被せもの |
前装MC | ぜんそうえむしー | 前装鋳造冠 内側が金属で見える部分がレジンの被せ物 |
ブリッジ (Br) |
ぶりっじ | 歯のなくなった部分を補う橋状の被せもの |
MB | めたぼん | メタルボンドクラウン 内側が金属で見える部分がセラミックの被せ物 |
◆症状や状態を表す | ||
Att | えーてぃーてぃー | 咬耗症 歯がすり減った状態 |
HRT | えいちあーるてぃー | 半埋伏歯 歯茎や骨の中に半ば埋まっている状態の歯 |
カリエス (C) |
かりえす (しー) |
虫歯 |
Dul | どぅる | 合わない入れ歯など、刺激を受け続ける事でできる深い傷 |
Hys | ひす | 知覚過敏 |
Pul | ぷる | 歯髄炎 歯の神経部分の炎症状態 |
ペリオ (P) |
ぺりお (ぴー) |
歯周病 |
Perico | ぺりこ | 親知らずの周りの炎症 |
Pel | ぺる | 根尖性歯周炎 抜髄したあとの歯の根の炎症 |
WSD | だぶりゅーえすでぃー | 楔(くさび)状欠損 歯と歯茎の境にできる楔型の削れ |
◆検査関係 | ||
CT | しーてぃー | 3Dで立体的なデータが撮れるレントゲン |
デンタル | でんたる | 1歯~数歯用のレントゲン |
パノラマ/ パントモ |
ぱのらま | 歯全体を撮影できるレントゲン |
P検 | ぴーけん | 歯周病検査、歯周ポケット測定 |
BOP | びーおーぴー | 歯周ポケット検査時に歯茎から出血 |
◆位置や方向を表す | ||
頬側 (B) |
きょうそく | 頬側 |
舌側 (L) |
ぜっそく | 舌側(下顎) |
近心 (M) |
きんしん | 前歯側 |
遠心 (D) |
えんしん | 奥歯側 |
咬合面 (O) |
こうごうめん | 噛む面 |
口蓋側 (P) |
こうがいそく | 上顎側(上顎) |
一覧をエクセルでダウンロード→よく使う歯科用語
もちろん、最初から全てを把握するのは無理なので
不明な用語は都度確認して覚えればOKです。
歯式
歯式、もう覚えました?
歯式は歯の生えている場所を示す言葉です。
大人の歯は数字、子供の歯はアルファベッドが割り振られています。
前歯が1番で、奥に行くにつれて数字があがっていきます。
- 歯式は左右が反対になる
- 歯式を取るときは多くの場合右上スタート
先生からカルテにメモして!!
カガク3~3、右上6、7
って言われたら、歯式はどう書けばいいでしょうか?
特に、左右は混乱しがちですよね。
歯式での右はあくまで対面してる患者さんの『右側の歯』を意味するので注意が必要です。
つまり、『自分の左右とは反対』になります。
歯式を見るときは、患者さんと対面しているイメージを持つといいでしょう。
もう一つ、先生に歯式とるよ~!
って言われた場合の注意点です。
『歯式を取るときは多くの場合右上スタート』
患者さんにとっての『右上』ですよ。
つまり、順番はこうなります。
上図のように、一筆書きでぐるっとチェックしていくのが一般的です。
スタート位置を間違えると、全てがズレてしまうので気をつけましょう。
治療の準備・器具機材・薬剤・術式は少しずつ覚えればOK
何度も言うようですが、歯科は覚えることが多いので、いっぺんに全部覚えようとするとパンクします。
治療ごとの準備・器具機材や薬剤・術式に関しては
経験する度に少しずつ覚えていきましょう。
治療の準備・器具機材や薬剤覚えるためのポイント
- 治療ごとにまとめて写真をとる(もしくは絵で書く)
- それぞれの名称を書く
- 用途を調べる
医院によっては、既にマニュアルがある場合もありますよね。
そんな場合にはラッキーなので絶対活用すべきです。
治療の術式(流れ)を覚えるためのポイント
術式(治療の流れ)を覚えるのは、未経験の歯科助手さんには中々ハードルが高いですよね。
器具を取りに行っている間に治療が進むから、通しでの術式が不明!!
ついたアシストの内容だけで覚えようとすると、中々大変だと思います。
私は次の5ステップで覚えていました。
- 書籍や動画で基本の術式は確認しておく
- アシストについた後に見たこと(術式)、やったこと(アシスタントの動き)をメモる
- もう一度動画や書籍で確認しつつ、自分のメモと答え合わせ、補てんする
- 不明だった部分は、次回アシストにつく時に特に注意して見る
- 先生や衛生士に質問する
歯科助手が術式を覚えたほうがいい理由は、
先読みしたアシストをするためです。
先読みしたアシストができるようになるには、それなりに時間がかかります。
(できるようになると、一気に先生にも頼りにされるようになります)
↑で説明した1~5を何度か繰り返して覚えましょう!
治療準備・器具機材や薬剤・術式を覚えるのに役立つ書籍・サイト・動画紹介
カラーで写真が豊富、初心者向けに書かれている本だけご紹介します。
歯科助手用に書かれている本、は初めて歯科で働くならマニュアル代わりに1冊は手元にあると安心です。
ユーキャン歯科助手お仕事マニュアル
写真も多くてわかりやすく、術式・治療の準備物も掲載されています。
アシスタントワークのことだけでなく、保険証のチェックポイントなど受付で必要な知識も含む充実の内容です。歯科助手初心者の総合的な学習におすすめできます。
新人歯科衛生士・歯科助手ポケットマニュアル
この本のいいところは、よく使う薬剤・材料が写真付きでまとまっているところです。
小さいので持ち運びやすく、通勤中などに勉強したい人におすすめです。
私も新人時代はよく助けられた1冊です。
デンタルスタッフBeginners
この本のすごいところは、書き込み式のページがあるところです。
朝来たらすること、帰りにすることなどのフローチヤートが自分で作れるようになっています。
治療の術式も、治療の流れ・歯科医師の動き・アシストの動きが流れで説明されています。
ページ数的にはそんなに多くはないので、最低限のことだけ知りたい人や本が苦手な人に向いています。
dStyle 歯科のお仕事完全マニュアル
WHITE CROSSさんのサイト
『dStyle 歯科のお仕事完全マニュアル』は
歯科医療って何?とういうような超基本的な内容から
CRやSET、根管治療などの準備物や術式も記事内で解説されています。
私も歯科衛生士学校に通っていたころに、このサイトに出会えていれば何度も見にいったことでしょう・・・
林歯科クリニックさん
↓CR治療の準備 というタイトルの動画ですが治療の流れ(術式)も説明してくれています
歯科助手応援チャンネルさん
↓こちらは根管充填についてわかりやすく説明してくれています。
アシストの基本!!バキューム、ライティング、器具の受け渡しのポイント
歯科助手のアシストの基本業務といえば
バキューム、ライティング、器具の受け渡しですよね。
しっかり慣れるのには経験が必要ですが
最初から、ここだけは押さえて欲しいポイントがあります。
最初から上手にできなくても、最低限注意することは覚えておきましょう。
バキューム操作のポイント
- 基本は利き手で持つ
- 持ち方は握り持ち
バキューム挿入の注意点を覚える
下の図の、水色の部分はバキューム挿入禁止部分です。
ここに当てると、『おえっ』となるのでNGです。
ピンクの部分(前歯部分の唇と歯の間の歯茎)は強く当てすぎると痛いので、押し当てすぎないように気をつけてください。
緑の部分(口角)も横にぎゅーぎゅー引っ張ると痛いし、切れやすい人もいるので注意が必要です。
基本のバキューム位置を覚える
治療部位ごとの、基本的なバキュームの位置はこちらです。
助手は患者さんの左横~左斜め上あたりにいる事が多いので、図は回転してあります。
ユニットに患者さんが寝ていることを想像して位置を確認してください。
バキュームのチップの向きは出来るだけ歯列に向けるのもポイントです。
バキュームの役割を覚える
- 水や唾液の吸引
- 舌や頬を治療器具から保護する
- 唇、舌、頬をよけて治療スペースをつくる
主に上の3つがバキュームの役割です。
水を吸うだけが目的ではないので、覚えておきましょう!
ライティングのポイント
ライティングのコツはこちらの動画で学んでみましょう!
- 動かす時は患者さんの目に当てない
- 自分が覗きこみ過ぎて影にならないようにする
- 患者さんや先生の頭にぶつけない
ライティング上達のヒントは
先生が何を見ているか?で当て方を変えることです。
- 口の中全体を見てる(歯式など)→全体をまんべんなく
- 処置歯を見てる(治療中など)→処置歯が一番明るくなるイメージ
- 処置歯をミラーで見てる→ミラーに当てる
器具の受け渡しのポイント
タイミングよくパシッと器具が渡せるとかっこいいですよね。
- 確実に、先生の手に押し当てるように渡す(持ったことを確認してから離す)
- 先生が持ちかえる必要がないよう、向きを施術部位合わせて渡す
- 受け渡しの禁忌を把握する
器具の受け渡しエリアは、基本は患者さんの胸の上あたりです。
但し、外科器具などの鋭利なものや重いものは頭部の後ろで渡すのが望ましいです。
器具の受け渡し解説動画をチェック
歯科助手が頼まれやすい仕事
歯科助手として働くのであれば、高頻度で頼まれやすい仕事があります。
セメント練って!
印象するからアルジネート練って!
石膏注いどいて!!
レントゲン準備お願いします!!
歯科助手の日常です。
早めにマスターしたいものですが、経験や慣れが必要な仕事でもあります。
あとは練習+経験あるのみ!!
セメント練和の基本を覚える
『セメント』って初めて聞くと、何それ?道路工事??って思いませんでした?
歯科では『セメント』はこんな時に使います。
- 銀歯などの被せものをくっつけたい時
- 被せものをつける前の、仮の歯を仮止めしたい時
- 歯の神経を保護したい時
- 削った歯の補強や形態修正したい時
セメントにはいくつか種類がありますが、ざっくり分けると
- 粉と液を混ぜて使うもの
- ペーストとペーストを混ぜて使うもの
の2種類があります。
つまり、2種類以上のものを練ったり混ぜたりする必要があります。
その部分を歯科助手が担当することが多いです。
セメント練和の重要ポイント
- 計量が重要
- 操作時間に制限がある
計量は、例えば粉スプーン1杯なら正確にすり切り1杯です。
操作時間も何秒混ぜるか決まっている商品もあります。
基本は商品の説明書の分量・操作方法を守って使用します。
セメント練和の動画をチェック
こちらの動画で、セメントの種類を説明してくれています。
勤め先の医院で使っているものは、チェックしておきましょう。
アルジネート練和の基本を覚える
アルジネートとは、歯型を採るときに使う材料の1つです。
歯科では歯型を採る場面が多いです。
- 被せものや詰め物を作るとき
- お口の模型を作るとき
そんな時によく登場するのがアルジネート印象材です。
保存されている時は粉状ですが、水と混ぜるとどろどろになります。
更に放置すると、硬めのゼリーのように固まります。
アルジネート練和の重要ポイント
- 計量が重要
- 操作時間に制限がある(30秒〜1分以内)
- 水の温度で硬化時間が変わる
- 気泡を入れない
準備の手順
- 必ず先にトレーを準備
- 粉はほぐしておく
- 粉は付属のスプーンで、しっかりすり切って計量
- 粉を先にラバーボール(ゴム製のカップみたいなやつ)へ
- 水は計量カップではかる
※水温が高いと、早く固まるので夏場は冷蔵庫で冷やした水を使うのもおすすめです。
練和の手順(手練りの場合)
- 先に粉を入れたラバーボールに水を入れる
- 最初は粉・水を馴染ませるようにゆっくり混ぜる
- 混ざり始めたら手早く
- ラバーボールをまわして印象剤を押しつけ、気泡をつぶす
- 混ざったらスパチュラ(専用のヘラ)であつめる
- トレーに盛る
- 余分な印象材をとる
粉と水の量の目安を覚えておこう
粉、水の量はトレーの大きさによって変えます。
例えば、私が勤めていた医院で使用していたアルジネートの場合↓のように目安を決めていました。
トレーの種類 | 粉の量 | 水の量 |
---|---|---|
部分用(片顎トレー) | スプーン1杯 | カップ半分(20ml) |
下顎用トレー、小さめ上顎 | スプーン2杯 | カップ1杯(40ml) |
大き目上顎トレー | スプーン3杯 | カップ1杯+半分(60ml) |
アルジネート練和を動画で学ぶ
石こう注ぎの基本を覚える
石こうは、採った歯型に流して固めて、模型を作りたい時に使用します。
前項で説明したアルジネート同様、保存時は粉状ですが、水と混ぜるとどろどろになります。
型に流して放置すると固まるため、模型が作れます。
歯科で被せものを作る時は、模型にしてから技工所(被せものを作ってくれるラボ)に渡すことがほとんどです。
石こう練和の重要ポイント
- 計量が重要
- 操作時間に制限がある(30秒〜1分以内)
- 水の温度で硬化時間が変わる
- 気泡を入れない
石こうの練和や注入を動画で学ぶ
石こうの練和や注入は、まずこちらの動画でイメージをつかみましょう。
石膏準備と練和手順
- 石こうを流す歯型(印象)を準備
※印象表面の唾液や血液は優しく水洗い、水気をきる - 水は計量し、ラバーボールへ
- 粉はほぐして計量
- 水の入ったラバーボールに粉を入れる
- 最初はゆっくりまぜて粉と水を馴染ませる
- 馴染んだら、クリーム状になるまで手早く混ぜる
- バイブレータ―に押しあて、気泡をなくしていく
- スパチュラに少量の石こうをとる
- 印象をバイブレーターにあてながら、端から少量ずつ流す
※流す際は1方向から、気泡が入らないように流す - 歯列全体まで流したら、バイブレーターをとめる
- 残りの石こうを盛り上げる
石こうの計量は重要・・でも、医院によって考え方が違う
水や、粉の計量は感覚で行う医院もあります。
参考用の模型や対合の模型はそこまで厳密にしなくても大丈夫という考えもあるので、何が正解かは、はっきり言えません。
私が勤務していた医院では、粉はキッチンスケール、水はメスシリンダーで計量していました。
粉と水の量は石こうの種類や商品によっても割合が違います。
この割合は『混水比』といって、パッケージなどで確認できます。
一般的な目安を↓の表にまとめました。
普通石膏 | 硬質石膏 | 超硬質石膏 | |
---|---|---|---|
石こうの使い分け例 | 研究用や対合用 (精密さ小) |
対合用の模型 義歯の模型 (精密さ中) |
被せもの、詰め物 (精密さ大) |
混水比(水と粉の割合) | 0.35~0.50 45~50ml/100g |
0.20~0.30 23~30ml/100g |
0.18~0.25 20~25ml/100g |
保険の被せものは『硬質石膏』自費の場合は『超硬質石膏』・・・のような使い分けもあります。
レントゲンの準備
歯科でよく使用するレントゲンは主に2つ!!
『パノラマ』と『デンタル』があります。
他にもありますが、まず『パノラマ』と『デンタル』の準備ができるといいでしょう。
パノラマ・・・お口全体のレントゲン
デンタル・・・部分的なレントゲン
パノラマ撮影準備を動画でチェック
パノラマ撮影の準備を覚えよう
パノラマはお口全体のレントゲンです。
初診や久しぶりの患者さんに対し、撮影することが多いです。
パノラマを撮影する前に、患者さんに以下の物を身に着けてないか確認します。
- 眼鏡
- 義歯
- ネックレス
- ピアス
- ヘアピン
- ヘアアクセサリー
これらの金属を含むもの(またはその可能性のあるもの)はレントゲンに映りこむ可能性があります。撮り直しを防ぐためにも顔周りの金属類ははずしてもらうよう、声を掛けます。
眼鏡がないと移動が怖い患者さんの場合、レントゲン室についてから預かりましょう。
金属製品の確認が終わったら、患者さんをご案内します。
パノラマ撮影準備の手順
- レントゲン室の電源をON
- PCに患者さんのIDを設定しておく
- レントゲン室に案内して、防護エプロンをかける
- 位置を合わせる
- 10~30秒で終わるので、その間動かないよう患者さんに声かけ
- 先生に声をかけ、位置チェック後にボタンを押してもらう
- 患者さんのエプロンをはずし、お席や待合室へ案内する
- レントゲンの保存
- 機械の高さを決める
患者さんのだいたいの顎の高さを目安に、機械の高さを決める - 実際に顎をのせてもらい高さを微調整
背筋を伸ばして無理なく顎がのせられているか?
機械を動かしても肩があたらないか? - 専用のスティックや、ロールワッテを噛んでもらう
- 顔の位置を微調整する
ガイドのビームが出る場合は、下記を目安に合わせます
縦横のライン⇒顔の真ん中
前後のライン⇒犬歯の外側 - 頭の位置を固定する
デンタル撮影準備を動画でチェック
デンタル撮影の準備を覚えよう
デンタルは1枚で1歯~数歯を撮影するための、部分用のレントゲンです。
パノラマよりも、より詳細に映したい時に使います。
- 虫歯を調べたい時
- 歯の根っこのまで観察したい時
そんな時は、デンタル準備してー
と言われるかもしれません。
- 部位の確認
- 患者さんに義歯をはずしてもらう
必ず、どの部分をとるか確認します。
虫歯の確認なのか?根の方が見たいのか?目的も把握すると確実です。
義歯など、お口の中の外せる金属は外してもらいます。
デンタル撮影準備の手順
- レントゲン室の電源をON
- PCに患者さんのIDを設定しておく
- レントゲン室に案内して、防護エプロンをかける(重いことを伝える)
- 位置を合わせる
- 10秒程度で終わるので、その間動かないよう患者さんに声かけ
- 先生に声をかけ、位置チェック後にボタンを押してもらう
- 患者さんのエプロンをはずし、お席や待合室へ案内する
- レントゲンの保存
- インジケーターにフィルムをセットする
- フィルムを撮りたい部分の裏に合わせる
- インジケータ―を咬んでもらう
- コーンの角度を合わせる
(コーンとインジケーターの円を合わせる)
※インジケーター=位置合わせのガイド。使用しない場合もあります。
※コーン=レントゲンの照射筒
部分ごとの合わせ方を詳しく知りたい方
WHITE CROSSさんのサイト『dStyle歯科のお仕事完全マニュアル』で説明してくれています。合わせてチェックしましょう。
受付(予約、会計、電話対応)
受付カウンターで患者さんの対応をするのも歯科助手の仕事です。
受付さんが優しく、テキパキしていると安心しますよね
受付業務+アシスタント業務どちらも総合的に勉強したい方にお勧めの本
- 受付
- 会計
- 予約
- 電話対応
他にも、医療費を請求する業務(レセプト)や
患者さんのカウンセリングを担当する場合もあります。
受付の流れを覚える
まずは、患者さんが来院してから、帰るまでの流れを知っておきましょう。
来院が初めての患者さんの場合は、保険証お預かり後に次の業務も発生します。
歯科にかかってくる電話の内容
歯科医院は予約制をとっている医院が多いので、電話もよくかかってきます。
言葉遣いや伝え方にも配慮して、適切な対応ができるといいですね。
歯科医院にかかってくる電話のパターンで多いものは把握しておきましょう。
- 患者さんからの予約
- 患者さんからのキャンセルや変更
- 患者さんから治療内容や症状についての問い合わせ
- 業者からの連絡や問い合わせ
- クレーム
電話対応は最初は緊張するかもしれません。
先生は治療中、聞ける先輩も周りにいなかったらどうしよう
そんな時は、確認後に掛けなおせば大丈夫です。
しっかりメモを残しましょう。
- 相手の名前
- 連絡先
- 問い合わせ内容
- こちらから連絡しても良い時間
お会計と次回予約
診療後の患者さんをしっかり送り出すまでが、歯科助手の役割です。
最後まで気を抜かずにいきましょう!
- 患者さんを待たせすぎない
- はっきりと金額を伝える
- 領収書の内容で問い合わせがあったら、しっかり確認して答える
- 保険証や診察券の返し忘れに注意する
待たせすぎに注意
待合室にいる患者さんは、診療前の方か、終わった方です。
誰が診療後の患者さんなのか、把握する癖をつけるようにしましょう。
そうしないと、こんな状況に・・・
先生が中で電子カルテを登録するのを忘れていて、
受付も会計画面に何も送られて来ないので放置・・
なので、パソコンの画面だけでなく、時折待合室の状況に目配りしましょう。
次回予約で注意すること
- 治療内容を専門用語を使わず説明する
- 所要時間を把握しておく
- 注意事項があれば忘れず伝える
- 診察券、アポイント帳の記入(入力)間違いに注意
患者さんに専門用語はNG
初心者のうちは、専門用語を覚えるのに必死ですよね。
でも、患者さんには簡単な言葉での説明が必要です。
例えば、次回は『抜糸』(ばっし)です。
と伝えると、患者さんは『抜歯』(ばっし)と勘違いするかもしれません。
と伝えれば確実です。
治療の所要時間や注意事項も知っておく
例えば、CRなら30分、根管充填なら45分など、治療の種類によって所要時間が変わる場合があります。
医院によっても違うので、確認必須です。
アポイントの内容によっては患者さんに注意事項や連絡事項をお伝えする場合もあります。
抜歯なので前日はお酒は控えてください~
次回は歯ブラシ持ってきて~
次回の治療に必要な情報は、歯科助手も把握して患者さんに伝えましょう。
『歯科助手が覚えること』のまとめ
今回お話ししたのは超基本的な最低限の内容ですが、しっかりできるようになると『頼りになる歯科助手』にランクアップできます。
ある程度、動けるようになるまで3ヶ月はかかると思ったほうがいいです。
- 歯科助手が覚えるべきことを知っておく
- 優先順位をつけて段階的に覚える
- 技術が必要なことは、まず注意点だけは覚える
冒頭でお伝えした、早く歯科助手の仕事に早く慣れるためのポイントです。
覚えるべきことは、今回お話しした内容をまずクリアしましょう。
優先順位は、自分の担当業務や、勤め先のよく予約の入る治療内容から覚えると動きやすくなります。
歯科の仕事は理解+実践できる技術が必要なもの(バキュームなど)が多いので、いきなり上手くはできません。
そういった業務は、注意点だけは先に覚えておくのをおすすめします。