この記事では、未経験で事務職に転職しようかな?
と考えている方に向けて、予め知っておいたほうがよい、注意点をお伝えします。
筆者自身、歯科衛生士から事務職に転職しているわけですが、正直、転職後に「失敗したな」と後悔した職場もありました。
無事採用されて、やる気満々で新たなスタートをきったのに、あれ?こんなはずじゃなかった・・・
そんな、苦い経験があります。
転職ってエネルギーを使う上に、失敗しても簡単にはやり直せないですよね。
失敗・やり直し=転職回数が無駄に増えてしまうわけです。
なので、これから転職活動をされる方には、注意点を予め知っておいてもらいたいなぁと、勝手ながら思います。
筆者自身の「失敗体験」から身をもって学んだ、失敗しないためのポイントもお話ししますね。
- 歯科衛生士や歯科助手から事務職へ転職したい人
- 未経験で事務職を目指そうか悩み中の人
- 事務職に転職したいけど、失敗が怖い人
事務はイメージと違って後悔する?
1つ目の落とし穴は、想像していた「事務職のイメージ」とギャップがあるかもしれないことです。
実際の仕事内容や職場環境が、自分の思い描いていたものとかけ離れていた場合に、「こんなはずではなかった」と後悔する可能性があります。
これは、自分自身が、何を求めて事務職を希望したかにもよります。
事務職への転職を希望する方には「定時に帰りたい」「単純作業がメインで簡単そう」「安定」「結婚しても長く続けやすそう」など働き方や環境の改善を求める人が多い傾向のようです。
また、実際に働いてみて、自分は事務職に向いていなかったことに気付き、後悔するケースもあります。
事務=プライベート時間を確保しやすいは間違い
事務職=残業が少ないと思っていると危険です。
確かに、事務職は他の職種と比べると、残業が少ない職種と言われています。
ですが、残業の多い・少ないは、職場によって違うと思っておきましょう。
他にも、個人のPC能力にも左右されます。
冒頭でお話した通り、私自身もワークライフバランスを重視して、歯科の総務事務に転職したことがあります。
求人にも、「基本残業なし」「質問しやすい環境」「OJTで簡単な作業からおまかせ」と記載されていたため、
未経験でも安心して、メリハリをつけて働けそう!と思っていたのですが・・・
【筆者の転職失敗談】確かに、残業なしだけど・・・
歯科の事務職に転職し、ひと月ぐらいの頃のことです。
しばらくの期間はコロナの影響で人員が手薄になり、外来が忙しいからと手伝うように言われ、受付を担当することになりました。
総務としての事務作業も持っていましたが、「外来業務のほうが緊急度が高い」、「今持ってる仕事は後でもいい」と言われ、指示に従いました。
ここで、事務作業は後日スケジュール立ててやればOKなのだと勘違いしたのが、まずかったのです。
私の常識は、仕事はお給料が発生する時間でやるのが当たり前だったので・・・
(ただ、この職場での常識は違ったようです)
仕事終わりに帰ろうとしていると、外来を手伝うことを勧めてきた上司が、
「あなたは勤務時間内は外来を手伝ってるけど、事務作業はいつやるの?」
「作業が早く終わらないのは、スキル不足もあるよね?残業はよくないよね?」
「遅れたくないならPCを持ち帰って進めてもいいけど?」
遠回しに勤務時間でできない分は、プライベートの時間でやるべきだと言われてしまい、立場的に断れずに背負い込んでしまった経験があります。
(こちらの職場の求人に、基本残業はないと書いてあって理由がわかりました。
私の前に入った人も、無茶ぶりが多く、長く続かなかったことが後々発覚・・・)
更には、上司が部下に対して時々暴言を吐く、威圧的な態度を取る環境でした。
とても、安心して長く勤めたいとは思えません・・・
『出産や結婚を経ても長く働きたい』と将来を見据えて事務職への転職を希望する女性は多いと思います。
ですが、私のようなケースもあり得ます。
事務だからプライベート時間を確保できる・穏やかな環境で働けるとは、安易に思わないほうがよいでしょう。
業務範囲が広くマルチタスク能力が必須
事務の仕事は、専門職と比べると覚えやすいかもしれません。
デスクワークが基本でルーティンワークが多い事務職ですが、実はその業務範囲は多岐に渡ります。
職場にもよりますが、事務員の仕事は、専門性が低いぶん、会社全体で見た時に「〇〇担当」と仕事の線引きをはっきり作りにくいです。
なので、会社内の業務で「営業の仕事」、「企画の仕事」などと分類できない、「その他の仕事や雑務」は全て事務の仕事としてお願いされる可能性があります。
また、事務の仕事は直接利益に関わらないため、緊急性も低いと判断されがちです。
そのため、多くの仕事を持っていたとしても、「こっちを先にやってよ」と言われやすく、仕事が膨らみがちです。
複数の仕事を同時に行いつつも、優先順位を把握して、業務が滞らないようにするためのマルチタスク能力が求められます。
他の職種から仕事を頼まれた時に詳細を確認したり、報告・相談等の場面も多いです。
「やりがい」を感じにくくなる
医療従事者のような「患者様と関わる仕事」
販売職のような「売上に関わる仕事」
上記のような仕事の場合、患者様から感謝の言葉を言われることや、売上達成等で褒めてもらえることもありますよね。
比べて事務の仕事は「全部できて当たり前」。
資料も、早く・正確に・見やすく作って当然。
ミスがないのが当たり前の世界です。
責められることはあっても、褒められることはあまりないので、周りから認められていると感じられる機会も少ないです。
前職が、感謝を言ってもらえる環境だった人、頑張りを褒められることをモチベーションにしていたタイプの人には、やりがいがないと感じるかもしれません。
注意!!競争率が高く転職活動が長引きやすい
2つ目の事務職転職の落とし穴は、想像以上に転職活動が長引く可能性が高いことです。
転職活動の期間は、順調に進んで平均3ヵ月程度と言われています。
ただし、場合によっては長期化するケースもあることを知っておいたほうがよいでしょう。
- 未経験で事務職を目指す人はとっても多い
- 経験者も転職活動している
- 辞める人が他の職種と比べて少ない
- 応募が多数集まりやすく、選考に時間がかかる
未経験者可の求人だとしても、経験者のライバルもいます。
経験者とスキルや経験を比較されてしまうと、採用される可能性が低くなってきます。
年齢が若ければ選んでもらえる可能性もありますが、特に30代以上には厳しい現実が待っています。
仕事を辞めてから転職活動しようと考えている場合は特に、その間の生活の事も考えておいたほうが安全です。
事務職が人気な理由
事務職はいつも人気の職業です。厚生労働省によれば、事務的職業の有効求人倍率は0.42倍。
※令和5年10月公表(9月状況)
つまり、求職者1人あたりにつき0.42件の求人しかない、求人数よりも求職者数が多いことを示しています。
事務職が人気とされる主な理由をまとめました。
土日休み・残業が少ない会社が多い
事務職は、土日休みで残業が少ない会社が多いことが、人気を集めている大きな理由の一つです。
社内向けの業務が多く、接客業のように顧客と直接やり取りをする機会は多くありません。
突発的な業務が発生しにくいため、土日に休める会社が多くなっています。
家事・育児と両立しやすいイメージから、女性から人気が高いのは想像がつきますよね。
今は若者世代も、仕事よりプライベートを重視する傾向が強く、事務職は新卒からも人気の職種です。
座って仕事出来るので肉体的にラク
事務職の業務内容はデスクワークが中心です。
歩くとしても、コピーを取りに行ったり、社内を移動するくらいです。
接客業などと比べ、自分のタイミングでトイレ休憩やお茶休憩が取りやすいのも、身体に負担が少ないポイントのひとつです。
基本的に社内にいるので、1年中冷暖房の効いた、快適な環境で仕事できる良さもあります。
体力的な負担は少ないため、年齢を重ねても長く働きやすい職種であるといえます。
難しいスキル・特別な資格不要
事務職は、特別な資格を持っていなくてもできる仕事がほとんどです。
そのため、仕事をはじめる上でハードルが低いというのも志望者が多い理由です。
営業→外回りとノルマが大変そう
研究者→文系だから無理
接客業→長く続けられる気がしない
特別なスキルはなくても挑戦できるし、潰しも効きそう。
イメージしやすい職業のため、こんな風に、特別やりたいことはないんだけど・・・
という人からも転職先に選ばれやすいと感じます。
ノルマ・クレームなどによる精神的ストレスが少ない
事務職は内勤であるため、顧客や取引先とやりとりをする機会が少なく、顧客のクレーム対応を任されることもありません。
また、営業のように会社からノルマを課せられることもないでしょう。
プレッシャーに弱いタイプの人や、接客が苦手と感じやすい人にとっては、精神的にストレスが少ない仕事といえます。
他の職種と比べ辞める人も少なく、求人も少ない
事務職は、そもそも求人が少ないのが現状です。
コスト削減の観点から、アルバイトや派遣で人員を補う会社も増えているので、特に正社員の募集は少なめです。
もともと、多くの人員を必要とせず、長く働きやすい環境なため、欠員が出にくくなっています。
更にはIT化の影響で、今後も大幅に求人数が減る可能性もあります。
いざ求人が出ると、あっという間に募集が集まるので、未経験者で正社員狙いの人には特に転職の難易度が上がります。
年収が下がる可能性がある
未経験で事務職に転職する落とし穴3つ目は、今までのキャリアが活かせず、年収も下がってしまう可能性があることです。
事務職では未経験者として扱われるため、新卒並みの給与からスタートになる可能性もあります。
特に歯科衛生士などの資格職でキャリアを積んできた場合、今と同じくらい貰うのは難しくなるかもしれません。
他の職種と比べて給与が高くない
dodaの平均年収ランキングを見てみました。
参考:doda(デューダ) 年収の高い職業は?平均年収ランキング(職種・業種別)【最新版】
こちらのデータだと、事務の平均年収は336万(女性は321万)程です。
職種分類別のランキングにすると、下から2番目です。
他の職種と比べると、給与水準が低いことがわかります。
念のため他のサイトでも調べました。
一般事務の仕事の平均時給は派遣社員で約1,339円。
アルバイト・パートでは1,034円程度の相場になっているようです。
また、正社員の平均年収は約339万円で月給換算すると28万円、初任給は20万円程度が相場のようです。
求人ボックス:一般事務の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)
やはり、年収は300万円代前半くらいが平均のようです。
事務職は給与が上がりにくい・・・理由
事務職は給与水準が低いのに加えて、給与が上がりにくい職種でもあります。
直接利益に関わらない
営業職のように直接売上に関わる職種であれば、誰がどのくらい成果を上げたかわかりやすいですよね。
でも、事務は会社の利益に直接繋がる仕事ではありません。
営業の業務が円滑に進むように、サポートする役回りであることがほとんどです。
事務の仕事で成果を評価される機会は少なく、個人の評価より、会社全体の業績がよくてはじめて昇給します。
そのため、昇給するペースはかなりゆっくりです。
専門性が低く、スキルが評価されにくい
給料は、会社に対して提供した仕事の対価として支払われるものです。
基本的にルーティン業務だけを担当する事務職は、その人にしかできない専門的な仕事ではありません。
もちろん必要な仕事ではありますが、スキルが評価されにくい分給与も上がりにくい現実があります。
失敗しないためのポイント!
私自身が次に転職する時用のメモとして、失敗を回避するポイントをまとめました。
事務職に転職したいけど、後悔したくない!!という方も、是非参考にしてくださいね。
転職支援を使う
失敗を避けるポイント1つ目は、転職支援(転職エージェント)を利用することです。
理由は、自分1人で行う応募先企業の情報収集はデメリットが大きいからです。
- 情報収集が求人内容のみに頼ることになりがち
- 非公開求人や想定していなかった求人と巡り合えない
- 疑問が生まれた時に、自分で確認しないといけない
情報収集が求人内容のみに頼ることになる
1人で転職を進めると、求人と会社のホームページくらいしか情報収集の手段がないですよね。
求人の内容を見て、きっと〇〇な職場だろう、未経験OKって書いてあるから大丈夫だろう、と、良い方向に想像して応募するのではないでしょうか。
求人は、応募者を集めるための物なので、良い面しか書かないのが普通です。
企業にとって都合の悪い内容は、上手い言葉で濁すか、敢えて載せません。
なので、情報収集手段が求人情報のみだと、就職後に「想像とのギャップ」が生まれやすいです。
(最悪、私の転職失敗談のようなことになりかねません。)
転職支援を使えば、職場の内情や雰囲気など、求人情報だけではわからない情報も知ることができます。
非公開求人や想定していなかった求人と巡り合えない
転職エージェントでは数多くの非公開求人(一般公開されていない求人)を持っています。
人気の企業や好条件の求人の多くは、非公開求人です。
企業側が、応募の殺到を防ぎたい・採用を急いでいる等の理由で、一般には公開せず、エージェントからの紹介でのみ募集するケースが多々あるのです。
非公開求人はもちろん、求人サイトに掲載はされていません。
非公開求人を知りたいのであれば、転職エージェントへの登録は必須になります。
疑問は自分で確認しないといけない
応募前や応募後に、気になることが出てくる場合ってありますよね。
そんな疑問が浮かんだ時に、自分で企業に問い合わせるのは少しハードルが高いと思います。
転職支援を利用していれば、担当のエージェントが代わりに確認してくれます。
エージェントを使うデメリットはないのか
もちろん、全くデメリットがないわけではありません。
- 自分のペースだけで転職活動がしにくい
- キャリアアドバイザーとの面談が面倒と感じる
- 担当者との相性が悪いと、嫌な思いをすることがある
使った場合のデメリットは転職活動中のみに関係するものがほとんどです。
自分が担当者の言われるがままにならないように注意すれば、問題ないでしょう。
一部のハイクラス向けの転職支援以外は基本的に無料です。
迷っているなら、お試しで登録してみるのもアリです。
ただし、担当者によってサポートの質が違って来るので、大手含めて数社は登録するのを推奨します。
結構重要なことなので、他のページでも書いていますが、
大手転職エージェントのリクルートエージェントあたりは登録しておきましょう。
エージェントさんとの相性が心配なら、転職エージェントナビで転職アドバイザーを通して探す方法もあります。
まだ、本当に転職するか決めてなくても、登録してOKです。
実際にキャリアアドバイザーと面談し、その中から自分にとって相性のいい担当者と一緒に転職活動を進めるのが、後悔のない転職への近道です。
事務系転職におすすめの転職支援
※横にスクロールできます
転職エージェント | 特徴 | おすすめな人 |
---|---|---|
リクルートエージェント |
|
|
doda |
|
|
type女性の転職エージェント |
|
|
エージェント選びが不安な方向けサービス
失敗しない転職には、転職エージェントの力が必須!
そんな方向けに、転職エージェントと求職者のマッチングサービスというものもあります。
※横にスクロールできます
サービス | 特徴 | おすすめな人 |
---|---|---|
キミナラ |
|
|
転職エージェントナビ |
|
|
正社員以外も視野に入れる
どうしても、事務職×正社員という組み合わせで転職を成功させるのは、ハードルが高いです。
未経験は特に、スキルや経験面でアピールが難しいので、中々決まらず、転職活動が難航してしまう場合も考えられます。
ですが、パートやアルバイト、派遣社員となると就職の難易度は各段に下がります。
正直、派遣社員はボーナスはないし、キャリアに繋がりにくい仕事であることは避けられないので、年収やキャリアアップ重視派の人にはおすすめできません。
ですが、ワークライフバランス重視派の人、事務の仕事が本当に合うか不安な人のスタートとしては、検討の価値があります。
派遣だとしても、スキルが認められる等、企業側に直雇用したいと思ってもらえれば、正社員に誘われる可能性もないわけではありません。
現に私も、お誘いを受けました。
また、派遣社員の場合、紹介予定派遣といって正社員になること前提の求人もあります。
事務系求人の多い派遣会社3選
※横にスクロールできます
※求人数は2024年1月時点
自己分析・応募書類作成・面接対策をしっかり行う
応募先から選んでもらえないと、転職成功とは言えませんよね。
そのためには、選んでもらえるための「応募書類作成」と「面接対策」が欠かせません。
しっかりと自己分析して、自分の売り込みポイントを上手く伝える必要があります。
転職活動に慣れていない方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
応募書類作成・転職理由の伝え方など、DHから事務に転職成功した際に、実際に行ったことをまとめてあります。
まとめ
今回お伝えしたことを知っているだけでも、事務職への転職で後悔するリスクを減らせます。
- イメージと違って後悔する
- 転職活動が長引きやすい
- 年収が下がる可能性がある
- 転職支援(エージェント)を使う
- 正社員以外も視野にいれる
- 自己分析して応募書類作成・面接対策をする
もうひとつ、転職先に求める条件に、優先順位をつけておくことも、失敗しない転職のためには重要です。
100%理想どおりは難しいので、妥協できるところと、譲りたくない部分ははっきりさせておきましょう。
私の場合は、精神的に負担の少ない環境で、プライベート時間も確保できることを最重要視していました。
なので、派遣で事務という働き方を選んでも、結果的に満足できています。
逆に、多少厳しくても、年収が上がれば満足という方もいますよね。
後悔しない転職とは、シンプルに自分自身が「前より良くなった」と思えるかどうかではないでしょうか。
自分にとって「今より良い」とは何なのか考えると、働く上での優先順位も見えてくると思います。