歯科衛生士

歯科衛生士学校では何を学ぶ?実際に通って感じた優先して勉強すべき教科

『歯科衛生士』の資格取得のためには、
専門の養成機関で最低3年間学校で勉強し、国家試験に合格する必要があります。

それは知ってる!
あと、歯科医院で実際に歯科医師のアシスタントをしたり・・・
臨床実習で実務を学ぶことは、学校見学で聞きました!
では、歯科衛生士になるためには、実務以外にどんな勉強が必要か知っていますか?
えっと・・・虫歯についてとか・・・
歯の磨き方にも、詳しいイメージ!!
それも、正解ですが・・・もっと幅広い知識が必要です。
歯科衛生士の仕事内容は主に3つ!!

  1. 歯科医師のアシスタント
  2. クリーニングなどの予防処置
  3. 患者さんへの指導

この3つを専門知識をもって行えるように、勉強します。

歯科衛生士の仕事って思ったよりも範囲が広そう・・・
具体的に、学校では何を勉強するんだろう・・・
学校のHPで教科名を確認しても、保存修復?補綴??
見慣れない単語がいっぱいで意味不明!!
国家試験の教科もなんだか難しそう・・・
教科名だけ見ると、なんだか難しそうに感じますよね。
今回は歯科衛生士が学校で習う教科内容
国試の内容を簡単にお話します。
こんな方におすすめの記事です
  • 歯科衛生士学校で学ぶ教科を知りたい
  • 国家試験の科目を知りたい
  • 優先して学ぶべき教科を知りたい

歯科衛生士学校の主な勉強内容

歯科衛生士学校で勉強する目的は

  • 専門知識を持って、仕事をするため
  • 『国家試験』に合格するため

なので、学ぶ内容もそれらに必要なものになります。

学校で学ぶ教科は、基礎分野専門基礎分野専門分野があります。
国試の内容も、この中から出ることになります。
入学する学校によって、カリキュラムに多少の違いはありますが、
一般的なものを次項から解説します。

『基礎分野』は高校までに習う内容と重複しやすい

基礎分野に該当する科目は一般教養、英語、心理学、化学などです。
歯科や医科の学校でなくても、勉強するような教科になります。
短大や大学で歯科衛生士の資格をとる場合は、さらに基礎分野の教科が多くなる場合もあります。

化学とか、学生時代苦手だったな・・・
心理学はちょっと面白そう!!
化学は理系出身じゃないと苦手に感じる人が多そうですね。
濃度の計算とかは復習しておくことがおすすめです!

『専門基礎分野』は医療に関する学習全般

『専門基礎分野』の教科は歯科医院で勤めてみて、詳しく知らなくても仕事はできるな・・・
という教科も正直あります・・・
でも、自分が患者さんだったら、医療従事者には知っていてほしい医療の基礎知識です。
ちなみに国試には、ばっちり出ます・・・

主な教科と内容例

教科名 内容例
解剖 人体を作る細胞、筋肉や骨、神経、呼吸器や消化器などの構造・機能・名称
口腔解剖 歯式や歯牙それぞれの形、構造、舌の構造、歯周組織の構造など
組織発生 精子と卵子のことから、染色体の話など、人体が作られる過程
生理学 血液、臓器、神経の役割や、体温調節など生体でおこる様々な事象の仕組み
口腔生理学 口腔内や顎の運動、感覚、味覚、嗅覚のメカニズム、唾液の働きなど
薬理学 薬の種類や、治療効果を及ぼす仕組み(止血効果のある薬剤って?など)
病理学 病気の原因や成り立ち(炎症っ何?アレルギーって?など)
微生物学 細菌やウイルスについて(感染ってどうやっておこるの?免疫って?など)
栄養学・生化学 糖質や脂質、ビタミン、ミネラルについて、消化吸収や代謝について
衛生学・公衆衛生学 疫学、統計学、ライフステージごとの事業や施策など
衛生学・公衆衛生学とかも、歯科衛生士学校で習うんだ・・・
疫学???
疫学=集団を対象とした健康に関する様々な事象の頻度や分布のことです。
『衛生学・公衆衛生学』は人を取り巻く環境のことや、地域の保健のことまで幅広く学びます。

『専門分野』は歯科の仕事に直結することが多い

『専門分野』の内容は、歯科衛生士として専門的に仕事をするために必須な内容ばかりです。
実務的な内容も多く、歯科助手経験者は入学当初から何となく理解できている子も多数でした。

主な教科と内容例

教科 内容例
歯科予防処置論 歯石の取り方、クリーニングや検査の仕方、虫歯や歯周病の予防方法
歯科保健指導論 情報収集~診断、計画し、患者さんに必要な介入を実施するための手順
歯科診療補助論 感染対策、診療室の基礎知識、バキューム操作などアシスタント業務
保存修復学 虫歯や外傷で損傷した歯を、プラスチックや金属で修復する方法など
歯科補綴学 被せものや入れ歯、インプラントで失われた咬合力を補う方法など
歯内療法学 神経の治療や、歯の根っこ部分の治療について
歯周病学 歯周組織についてや、歯周病の分類、原因、検査、治療について
歯科矯正学 歯の矯正で使う道具や、かみ合わせ、歯の動かし方など
口腔外科学 麻酔についてや、舌、口腔粘膜の病変、各種口腔内の手術の術式など
歯科材料学 歯型をとるのに必要な材料、虫歯治療で使う材料など
歯科放射線学 レントゲンに関すること 放射線の人体への影響、各種画像診断について
高齢者歯科学 高齢者の口腔の特徴や、高齢者ならではの注意点、対応など
障害者歯科学 障害の種類や特徴、障害のある方への対応など
小児歯科学 子供の口腔内の特徴や、子供に合わせた対応方法など

中でも歯科予防処置論、歯科保健指導論、歯科診療補助論は実習もあります。
学校の実習室では、模型や、学生同士で実際に歯石取りや検査の練習もしますよ。

より具体的な内容が知りたい場合は、
学校ごとの『シラバス(授業の科目紹介や計画表)』を確認できるとベストです。

日本医歯薬専門学校さんが、わかりやすくシラバスを公開してくれてます。とても参考になりますよ。

国試は全部で9科目

授業の内容はだいたいわかったけど、
国家試験には、どんな内容がでるの?

国試の科目と内容例

試験科目 試験で問われる内容例
人体(歯・口腔を除く)の構造と機能 全身の解剖、組織学など
・皮膚感覚に関わる神経を選べ
・(画像があって)この骨の名称は?
歯・口腔の構造と機能
口腔内の解剖、組織学など
・噛む時に使う筋肉はどれ?
・副鼻腔がない部分はどこ?
疾病の成り立ち及び
回復過程の促進
病気や薬、微生物について
・この中で前がん病変はどれ?
・歯周病に関わりの深い細菌はどれ?
歯・口腔の健康と予防に
関わる人間と社会の仕組み
保健統計学や保健生態学
・妊産婦の健康支援を行っているのはどこ?
・近年最も患者数の多い食中毒の原因はどれ?
歯科衛生士概論 歯科衛生士の定義や業務の概論
・歯科衛生士の行える業務はどれ?
・セカンドオピニオンの説明はとして、正しいものは?
臨床歯科医学 歯周、補綴、など実際の臨床で扱う診療各分野について
・非外科処置では矯正不可能な症例は?
・根管治療に使う器具・薬剤を選べ
歯科予防処置論 虫歯や歯周病の基礎知識、予防など
・歯磨剤の成分で「発泡剤」はどれ?
・歯石についての説明で間違っているものは?
歯科保健指導論 情報集や計画を行い、歯科保健指導を実施するための知識など
・乳児の離乳食について、正しい説明はどれ?
・14 歳の女児が歯肉炎を起こしている場合の適切な指導を選べ
歯科診療補助論 アシスタント時に必要な基礎的知識など
・介助者のポジションとして最もふさわしい位置は?
・(写真があって)この器具を使う処置はどれ?

※令和4年度試験(令和5年3月実施試験)の場合 参考:歯科衛生士国家試験の施行 | 厚生労働省

国試は9科目について、問題が220問出ます。
試験時間は、300分で、全て選択式の問題です。

正直、範囲はとっても広いです・・・
1年生のうちから授業で少しずつ習います。

何を優先して学ぶべきか、迷ったら

歯科衛生士の専門学校で勉強してみて思ったことは、

想像以上に、教科がたくさん!!
課題も多いし、仕事もあるし、全てを完璧にする時間はない!!
私のおすすめする勉強の優先順位軸は
歯科現場で、早く仕事に慣れるための勉強>>>>>>国試対策のための勉強

いらない教科はないですが、全教科に全精力を注ぐのは・・・めちゃくちゃ大変でした。
そこで、何を優先して、時間をかけて学んでいくべきか?
優先順位の基準を持っておくことをお勧めします。

私は、全てを頑張ろうとしすぎて、潰れかけました・・・
まじめな方ほど、優先順位の基準は固めておきましょう。

歯科衛生士学校に通う多くの方は、
『歯科衛生士として、歯科医院で勤務する』ことを目標にしていると思います。

国試合格は、あくまで中間目標です。
6割取れれば、合格できるので、100点満点を目指さなくて大丈夫です。

歯科医院で働く事を想像してみてください。
だいたい、歯科医師がトップにいます。

歯科医師は、解剖学や化学に詳しい歯科衛生士より
術式を理解していて、テキパキとアシスタントしてくれる人や、
『歯周病』や『虫歯』など口腔内に関わる知識があって、
歯科衛生士としての業務をこなしてくれる人を求めます。

早くトップである歯科医師に信頼してもらえる歯科衛生士になるには
仕事に直結するような教科内容は、優先して学び、知識を定着させることがおすすめです。

分野、教科別で優先度をつけてみた

実際で学校で学んだ経験をもとに、私なりの教科の優先順位をつけてみました。
前提として歯科現場で、早く仕事に慣れることを優先にした順位付けにしています。

但し、国試に合格しないと歯科衛生士にはなれません。
3年生になったら、国試を意識した勉強に切り替えることも必要です。

優先度
歯科予防処置論、歯科保健指導論、歯科診療補助論
知識だけでなく、技術も必要になる。
歯科衛生士なら知っていないと仕事できない。
歯科診療補助論は初心者必見の内容も多い。
自分で患者さんへの予防や口腔内改善のための計画を立て、実践していくために必須な知識。
優先度
上記3つを除く専門分野の教科
歯科の治療・臨床に関係するものが多い。
特に保存修復学歯科補綴学歯内療法学、あたりに出てくる『術式=治療の流れ』は要チェック
術式、治療で使う薬剤や材料、器具機材はアシスタント時に必要な知識ばかりで、よく知らないと仕事しにくい。
優先度
専門基礎分野の教科
そこまで、詳しく知らなくても仕事に影響なし。
必要な時に、調べられるかは重要。
国試には出る。
優先度
基礎分野の教科
専門分野や、専門基礎分野を理解するための補助的内容が多い。
これらの教科自体は、メインではない。

 

まとめ
  • 学ぶ内容は『歯』に関わる事だけではない
  • 1年生の授業で習う内容から、既に国試の範囲
  • 歯科予防処置論、歯科保健指導論、歯科診療補助論は実習もある
  • 治療で使う薬剤・材料・器具機材、術式を覚えるとアシスタント業務が上手くなる
  • 1、2年生は歯科の仕事に直接関わる内容を特に頑張ろう
  • 3年生になったら国試対策を頑張ろう